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技術書典11 決め方の強化書 渡部啓太

プロジェクトマネージャ保護者会の新刊で啓太さんの本としては、4冊目に当たる。3冊目から表紙の装丁がワンちゃんになった。ワンちゃんが好きなのだろうか。たしか、ワンちゃんを飼っていたような気がするから、大のワンちゃん好きかもしれない。だとすると、今後の新刊の表紙もワンちゃんになるだろうか。それはそれで楽しみになる。

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新刊マークは2冊ついているうちの1冊の『決め方の強化書』である。教科書ではなく、あえて強化書と名前づけされている。こうしたところに、著者の拘りが感じられる。どのあたりに拘っているのかは、追々わかるのだろう。

はじめに、に書かれている『チーム作りには、納得感、方向性、情報という3要素が肝心だ』とある。

この春に新しいチームを立ち上げた。業務システムのオペレーションでの申請やそれに伴うサポート業務、システム運行上の管理業務などを担ってもらっている。このチームをオンボーディング、つまり立ち上げ、自走させるときに、これまで以上に丁寧に準備をして、垂直に立ち上がるように少しずつ業務を引き渡して、テイクオフした。

このとき、やはり、納得感、方向性、情報を無意識に提供し、それもただ渡すのではなく、機能するオペレーションチームになるように、気と時間を使うことに心掛けた。

そのときは、今思い出せば、方向性、情報、納得感の順番だったかもしれない。

方向性を先にしたのは、これからメンバと一緒に作るオペレーションチームを機能させる命題があるからで、そのチームで実現するちょっと先の将来像を伝え、どのような期待を持っているか、その思いを解像度高く持っている私自身が、私の言葉で伝える必要があると思ったからだ。このステップにより、チームの目指すでも通過点でもある方向性を共有した。これはオンボーディングの間は何度も伝えた。

情報は、オペレーションチームが行う業務に関する情報を伝えることを指す。

納得感は、業務自体の理解は当然あるが、どうしてそのような業務になっているか、業務の判断するための情報を集める理由は何か、それはどうしてか、など、オペレーションチームが単なるオペレータではなく、私と同じ価値基準とそれに必要な情報の集め方を合わせて伝えることで、担当する業務をチームの業務として違和感なく受け入れるために業務遂行で必要な観点を伝えることでそれを形にした。

本書では、意思決定やその手段、個人での意思決定とチームとしてまとまったときの意思決定の収斂方法をガイドする。納得感や方向性も同じように考え方やその手法を解説する。

前述したオペレーションチームのオンボーディングの経験と丸かぶりだ。もし先に本書を手にしていたら、もう少しクレバーにマインドシェアも少なく、チームをテイクオフできたかもしれない。

他書で扱うプラクティスは、メリットばかり書いてあることが多いが、本書の違うところは、使い方を間違えるとハマるポイントについても言及しているところだ。こうした実践者ならではのノウハウは、先に知識として知っていると、同じような場面に向き合ったとき、ふと思い出すものだから貴重なのだ。

仕事をする上での一番先にある仕事はチームビルディングといっても過言ではない。チームプレイが必要だから、チームを編成するのだ。だからこそ、こうしたチームビルディングの知識は必要だし、実践できることに価値がある。

本書はそれがとてもカジュアルに学べるだろう。

 

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