「アジャイルなチームをつくるふりかえりガイドブック」の刊行に寄せて
翔泳社から、森一樹さん単著『アジャイルなチームをつくるふりかえりガイドブック』が2月17日に刊行されます。
おめでとうございます!
ところで、そのふりかえり本の左にあるコピー本は、ふりかえり本の原点になった、いわゆるコピー本です。そこから2年と半年くらいで、商業誌として発売されます。
自分のことの様に嬉しいです。
C94
ちょっとだけ、昔話です。コミケ、そうコミックマーケットC94は、2018年8月10日から12日の3日間の日程で開催されました。
東葛飾PM&A研究所は西館の壁の配置(シャッターではありません)されました。初壁でしたから嬉しかったことを覚えています。その夏の日は、とても暑かったです。館内に雲が発生すると揶揄されるくらいです。
追い討ちを描ける様に、配置された場所は、天井部分が前に出ていて冷房が当たらず熱気が籠り、その場所だけ、異世界の様でした。
たまたまノベルティで作った団扇が役に立ったのが誤算でした。
委託販売
コピー本は、開催日の数日前、秋葉原のキンコーズでコピー本を印刷してもらい、大事に受け取って、会場に持ち込んだのです。
部数は20部だったでしょうか。
このときから、森さんのふりかえり本をご指名でサークルまで来られた方が何名もいました。
コピー本の委託を受けて、東葛飾PM&A研究所で頒布するのは2回目です。1作目はNEKOGETさんの本、森さんの本で2冊目。
委託を受けると、自分の新刊より紹介してたりします。時間を割いて、丹念に思いを綴った作品を全部届けたいって強く思うんです。相談に乗ったり、一緒にキンコーズに行ったり、ご飯を食べたり、思いを聞いたリ、聞いてもらったり。一緒に時間を過ごす。そうした経験も思いを強くしているのかもしれせん。
スタートはコピー本
「完売しましたー!」
サークル主なら、言いたいセリフです。リソースをやりくりして、形にした本が全て読者の手に渡る。ジャケ買いかもしれないし、タイトルに引かれたからかもしれません。著者と会話して『買っても良いかな?』と思ったかもしれません。
もしかしたら出会えなかった世界に20冊しかない本が2019年の夏に読者に届きました。
それから2年半。
良い本が出来上がりました。
森さんの技術同人誌は、自称「鈍器」です。薄い本は全く薄くないです。それは商業誌になっても同じです。ここまで続くと薄い本はもう書けないですね、読者が期待するので。
本を手に取ると、先に裏表紙を捲るんですね。奥付を見るんです。それでもう1枚捲ると321ページとある。つまり表紙を入れると326ページ。
翔泳社版のふりかえり本は、紙質が薄いんです。軽くてしなるから、ページを広げるとき、見やすい。でも、そこを狙ったのではなく、326ページもある厚さを薄くしようとしたのではないか、となんとくなく思ったのですが。
翔泳社版の原稿をレビューする機会をいただいて、レビューさせてもらいました。ちょうど、Dead or Agile3の執筆時期と被りましたが貴重な経験になりました。
レビューは生原稿だけしたから『あの原稿がこうなったのか!』と思うと思いもひとしおです。
ふりかえりガイドブックを積読にしない
この本は、実務で使ってこそ価値を発揮します。それは、個人であっても、チームであっても、実務で使うことに意味があります。
だから、もし手に入れたら(手に入れましょう。できれば紙をお勧めします。気になったところに小さな付箋をたくさんつけて)、いつも手の届くところに置いておきたい、そんな本です。
そして、手にしたら、その日のうちに目次だけでもパラパラとめくってみてください。目次の標題で気になったら(そのページに移って斜め読みでも良いです)、さっと目を通してみてください。
ほら、もう、価値の一つを手に入れたのです。もし、困ったシチュエーションになったとき、おかしいなと違和感に引っ掛かったとき、この本に戻ってこれます。
ふりかえり本というサクセスストーリ
技術同人誌から商業誌を単著で書くなんて、すごいですね。もちろん、その前後にふりかえりのプラクティスがたくさんあって、それは良いものだから現場で困っている人に伝えて、同じ様に良い方向に進んで欲しい。そんな思いを積み重ねて、活動を続けてきた1つの事例です。
それは稀有なことなのでしょうか。
そうは思いません。
今は、技術同人誌から商業誌として世の中に出すパスができています。例えばこの本も技術同人誌から商業誌になった本です。
思いがあるなら、思いをそのままにしない。
薄い本にしましょう。たくさん、小さな失敗をして(しなくて済む失敗はしなくても良いですよ)薄い本を書いてみましょう。
本を書くことは大変なことだからと躊躇するなら、ブログに思いを書いて、それを再編集するのはどうでしょう。
その思いはこんなステップで、薄い本の形に変えていきましょう。
- 目次を考えてみる
- 原稿用紙1枚くらいで良いから書いてみる
- 目次の書きたいところから書いてみる
- 決まったサイクルで書いてみる
書き出してみると『あれ、こんなこと書きたかったんだっけ』と思うかもしれません。でも良いんです。それは書いてみて、書きたかったことがわかったのですから。
もし、どうして良いかわからなかったら、Twitterで聞いてください。ベストエフォートになりますが、知っていることはこうかもと何かしら応えられるかもしれません。私の周囲にいるたくさんの同人誌を書いているエンジニアが寄って集ってサポートしてくれるでしょう。
あと、#推しの技術同人誌 に参加されても良いかもしれません。普段は技術同人誌を森さんと私で紹介する番組ですが、相談の場にしても良いかもしれません。
次はあなたがバトンを受け取ってくださいませんか。